July 25, 2007

懐の深い世の中に

ある方のブログを見ていて、ふと思い出したことがあります。

小学校1・2年生の時に同じクラスだった男の子のこと。


リュウちゃんは、あまり自分からはしゃべらない子でしたが、
背の順で私の隣りだったこともあって仲良しで、休み時間も
よく4〜5人の仲間と一緒に遊びました。

でもちょっと不思議だったのは、授業中に彼が教室にいる時と
いない時があること。 1時間目はいたのに、2・3時間目は
いなくて、また4時間目にいたり・・・。

それと、彼は勉強は全然ダメで、授業中におもらしをしてしまう
ことも何度かありました。
だからよく、「リュウちゃんは勉強が苦手なんだから、まずは
おもらしをしないように頑張ろうゼ」などと言って、トイレに行く
ように促したりしていました。

担任の女性の先生も、彼についてはとても気を配っていて、
体育の時など、皆が体操をしているのに、気付くと1人でボーッ
と突っ立ってしまう彼の横に立って指導したり、私に対しても
事あるごとに「リュウちゃんをよろしくね」と言っていました。


3年生になると、クラス換えをしていないのに、リュウちゃんが
いなくなり、同時に担任の先生も変わってしまいました。

リュウちゃんは、併設されていた心障クラスに移ったのです。


とてもショックを受けつつ、あらためて思い返して気付いたのは、
担任の先生が、それはそれは努力をなさっていたこと。
彼を普通クラスで受け入れようと、必死に尽力していたんです。

小学3年生になったばかりのガキの頭では、たいしたことは
わかりませんでしたが、それでも、先生が頑張ってくれたおかげで
たった2年間だけどリュウちゃんと同級生でいられたんだなぁ、と、
先生のことを心から尊敬したことを覚えています。


もちろん、授業に支障が出ては他の子に迷惑なのかもしれません。
本人のために、家族のために、皆のために、何がベストなのかも
わかりません。

だからこそ、もっと選択肢のある世の中であってほしいと思います。
対応力のある、懐の深い社会の仕組みであってほしいと思います。

少なくとも僕らは、その先生のおかげで、
毎年、運動会の練習と本番の日に、クラスメイトとして戻ってくる
リュウちゃんのことを、心障クラスの特別な子としてではなく、
大好きなトモダチとして受け入れることができました。
そして、それを基本のスタンスとして大人になることができました。


方程式の解き方を知っていることが偉いんじゃなくて、そこにある
問題を他人事とせずに向き合おうとする意識を持つ子供達が増えて
ほしいし、そうなるように育む大人たちが増えてほしいと思う。


私はまだ、リュウちゃんと先生から頂いたモノを、ペイフォワード
できていない。
前回の日記にも書いたように、この分野においてリレーションを
するまでは、私はどこまで行ってもアンフェアなのだと思う。

ゆっくりでも、1歩ずつ、想いを込めて歩を進めて行きたい。  



  



Posted by exceedblog at 00:14clip!想いを込めて 
July 17, 2007

初めての事を普通の出来事に

2人目の娘が、脳挫傷を伴ってこの世に生を受けた17年前、担当医に
「もって3日。奇跡が起きても重度の障碍を負いますから、その覚悟を」
と宣告されて、最良の1日が最悪の1日になってしまったあの日以来、
自分の夢を実現させても、誰の夢の実現を手助けしても、障碍者のそれ
と向き合わない限り、自分がアンフェアに思えてならない。

幸いにも、娘には本当の奇跡が起きて、何の障碍もなく元気に育った
けれど気持ちに変わりはなく、数年前から、徐々にそのための活動を
展開していますが、先日、海の向こうから素晴らしいニュースが届いた
ので、お知らせいたします。


2007年7月14日。

陸上の国際大会「ゴールデンガラ」で、2004年のパラリンピック
金メダリストの オスカー・ピストリウス選手(20歳)が、男子400m
のB決勝(開催地であるイタリア国内の選手が出場するレース)
に招待出場し、銀メダルを獲得しました。

ピストリウス選手は両脚にカーボン繊維製のスポーツ義肢をつけて
走るため、国際陸連は現在「バネや車輪など選手に利益をもたらす
器具の利用を禁止する」というルールに抵触しないかどうかを調査
していますが、その結論次第では、多くの障碍者にとって、大きな
道が開かれることになるかもしれません。

現在、オスカー・ピストリウス選手は、北京オリンピックへの出場を
目指してトレーニングをしています。


「初めてのこと」は、たいへんな向い風の中に挑み、ドン・キホーテ
と呼ばれながら、心の血を流しながら、それでも突き抜けていく誰か
と、それを支える多くの力によって成され、その後に続いていく多くの
勇気ある者・信じる者達によって、いずれ「普通の出来事」へと昇華
していきます。

いつか近い将来、障碍をハンディキャップとしてではなく、個性として
誰もが普通に受け入れて1つの輪を作っていける社会になってほしい、
と切に願っています。

普通になることは、彼らから「絶望」を消し去ると同時に、「逃げ道」も
奪うことになりますが、その厳しくもフェアなフィールドこそが、誰もが
望む究極の社会のあり方ではないか、そこで互いに差し出す手こそが
純粋な思いやりのカタチなのではないか、と思うのです。

本当の「夢」や「希望」を与えることとは、そういうことだと思います。


子供達が、そうしたことを普通に体感して育つ学校教育環境や、大人
達が普通にそれを実践して見せることで教えていく社会文化の実現に
おいて、我々にできることが確実にあるはずだ、と確信しています。  


  



Posted by exceedblog at 22:45clip!想いを込めて 
July 07, 2007

物語の主人公は誰なのか

ありがたいことに、私は今、多くの経営者や起業家、ポジティブ
に生きて行きたい方々にお会いする機会があり、たくさんの方々
に必要とされています。

幸いにも幼少の頃に誓った夢は全て実現し、メッセンジャーとして
心から望む人生を1歩ずつ踏みしめて歩んでいます。


でも、そこに辿り着くまでには当然、紆余曲折がありました。
何度も進む道が閉ざされ、何度も失敗と挫折を繰り返し、何度も
裏切られ、何度も自分の無力さを嘆き、何度も諦めかけました。

けれどその度に、たくさんの人達に支えられてきました。
時には希望の灯りで照らされ、時には叱咤激励され、気付かされ、
学ばせられ、手を差し伸べられ、選択を迫られ、癒され、死して
なお影響を与えられ・・・

そんな、数え切れない人達のおかげで、今の自分がある訳です。

それをペイフォワードしていくこと。
私にとって、それが使命であり、彼らへの感謝の表し方なのだと
思っています。


  マザーテレサは、こう言っています。

  「人間の最大の不幸は、自分が誰からも必要とされていない、と
  感じること」だと。

  必要とされていないこと、ではなくて、
  必要とされていないと「感じる」ことが最大の不幸なのです。

  感じているのは、あなた自身。
  必要とされていないと感じる自分を内観する必要があるのです。


私はたくさんの人達に支えられてきました。
それは決して、成長させてくれた人ばかりでなく、苦しい時などに
そっと寄り添ってくれたり、ただ黙って手を握っていてくれただけ
の人や、涙を見ないでいてくれた人もいます。

ほんの些細なことかもしれないけれど、確かにそのおかげで自分を
見失わずにいられたし、勇気を与えられて、助けられました。


人は、時には大いに誰かの役に立つことができますが、実際には、
たいていの場合は、大して役に立つことができません。
でも、そのほんの些細なことが、出口を見失っている人にとっては
とてつもなく大きな助けとなるのです。

「自分」が誰かから必要としてもらえるかどうか、ではなくて、
大切な人や目の前の「誰か」に、自分は何ができるのか、です。
ベクトルを自分に向けるのか、誰かに向けるのか。
For Me なのか、For You なのか。


自己成長とは、本来は、楽しくて嬉しいことです。
でも、成長するためには、止観・内観によって、向き合いたくない
ことと向き合っていく苦痛を伴います。

それでも私は、人の役に立てる自分になりたい。

For Me の努力なら、苦しくて息が詰まってしまいそうになるけれど、
For You の努力なら、大切な人のための努力ならば苦しくても平気。
大切な人を大切だと思える気持ち、それだけの感謝とそれだけの
愛情があるのなら、絶対に越えられる。 そして満たされる


私は、大切な人が、妻や子供や妹が自分を必要とした時に、絶対に
役に立って上げられる自分でありたい、と思う。

大切な人には、大切に思う人を本当に大切にしてあげられるような
生き方とあり方をしてほしい。
そのために、自分には何ができるだろうか


苦しいことがあったでしょう。
悲しいことや悔しいこともあったでしょう。
死にたいと思ったことや、SOSを出したこともあるかもしれません。
少なくとも私は、何度もあります。

自分を主人公にしてとらえていると、どこまでもどこまでも、その
暗闇は追いかけてきます。

それでも今、あなたはそこにいます。
誰かのおかげで、確実にそこに存在しているのです。

そこにあった感謝を見出すことができれば、もう大丈夫です。


物語の主人公を「自分」から「誰か」に置き換えることができた時、
本当の自己成長が始まります。  


  



Posted by exceedblog at 07:07clip!あなたから誰かへ