October 20, 2009

HERO

先日、子供の頃にとてもお世話になった人が亡くなり、
あらためて思い知りました。

自分にとっても、誰にとっても、時間は限られている

僕には、子ども達にも、妻にも、伝えたいことがまだ
たくさんあるし、一緒にしてあげたいことも、見せて
あげたいものだって数え切れないけれど・・・

その全てを手渡すことはできないのだろう。
ほんのいくつかしか、選ぶことはできないのだろう。

こうして子どもの手を握ってあげることができるのは、
決して永遠に続けられることじゃない。

だからこそ、今日は何を伝えられるだろうか。
そして明日は、どんな時間を共有できるだろうか。

21年前、初めて自分の子を抱いた時
この子を幸せにしよう、この子に胸を張れる親になろう、
そう思った気持ちは、今もこれからも色褪せない。


でもね

世の中には、親から愛をもらうどころか、ただ殴られたり、
尊厳を踏みにじられたり、心を殺されるような目にあって、
虐待で身も心も傷だらけにされて育った子もいる。

ただただ、毎日じっと息を殺して、それが終わることを、
そこから逃げ出すことや死ぬことだけを毎日考えて
生きてきた子や、自分の命の価値を見出せない子や、
今この瞬間もその地獄の中にいる子が、たくさんいる。

彼らの心に灯をともしたい
彼らに愛や感謝を体感させたい。
いつか心の底から「生まれてきて良かった」って言えるように。


もし自分が、明日を迎えることができなかったとしたら、
子ども達には、僕の大切な人達には、僕が与えるはずだった
愛情を、他の誰かから与えられてほしいと心から願う。

だから

そこに親から愛情を与えられていない子がいれば、
そこに自分の存在意義を見出せない子がいれば、
そこに心からの笑顔を忘れてしまった子がいれば、
そこに待っている子・待っている人がいるのなら
自分ごととして、我が子に対してするように、手を差し
のべ、抱きしめたいと思う。

悲しい顔をした子どもがいない時代であればいい。
誰もが手を差しのべてくれる時代であればいい。

でも、今はまだ、そうじゃないから。
僕にできることは、とても小さなことばかりかもしれない
けれど、そのできることを精一杯、やりたいと思う。


それは「この国の未来への投資」でもある。

今この国は、心の乏しい国になり下がっている。
優しさが、思いやりが、温かみが欠落してしまっている。
だからこそ、
本当の痛みを知る子が、今、誰かから本気で大切にされたなら、
きっと大人になった時に、優しい社会を創造していく一員に
なってくれるはずだ。


昔、僕にとってのHEROが、僕に勇気を与えてくれたように。
生き方と人生を変えてくれたように。
彼らがありったけの勇気をふりしぼって前へ踏み出していける
ことを心から願い、後押ししていきたい。

それは必ず、また次の誰かへとペイフォワードされていく。