エイティーズ世代として、その当時に流行っていた音楽には、どれも思い出が
ありますが、最も好きで、最も印象深い楽曲が、THE CARS - DRIVE - 。
1985年7月に、「1億人の飢餓を救う」というスローガンで「アフリカ難民救済」を
目的として開催された、史上最大規模のチャリティー・コンサート【 Live Aid 】 の
テーマソングに使用され、この曲とデヴィッド・ボウイのMCで、エチオピア飢餓
の映像が、世界中に流されました。
18歳だった当時、これが本当に同じ地球で起きている出来事なのかと目を疑い、
ただ涙を流しながら、買ったばかりのビデオで録画した映像を繰り返し見ました。
世界中の誰一人、地球自体さえ、こんなものは望んでいない。
こんな世の中は間違っている。
決定的な何かを変えなくちゃ。
自分に何ができるんだろう?
自分はこれからどこへ向かえばいいんだろう?
美しいサウンドと残酷な映像のミスマッチの中で、毎日、そんなことばかり考えて
いたように思います。
1987年リリースの Midnight Oil - Beds Are Burning - は、シドニーオリンピック
でも演奏された、オーストラリアを代表する楽曲ですが、詞の内容は、
「先住民から奪った土地や自然を返そう。今までの分も何らかの形で返すべきだ」
という趣旨のもので、サビはこんな感じです。
事実は事実
彼らのものじゃないか
彼らに返そう
地球が変わっていこうとしている時に どうやって踊ればいいんだ
ベッドが燃えているっていうのに どうやって眠るんだ
神に対して、この惑星を元の状態に戻して返すことなんてできないし、すべてを
無責任に放り出すわけにもいかない。
だとしたら、次の人たちが「ありがとう」と言って受け取ってくれるような状態に
変えて、子ども達が「この時代に生まれてきて良かった」と言ってくれる時代を
創り、手渡していくことを考えるべきではないのか。
次世代へつなげるあらたな文化を創造する。
そう思った時、当時様々なアーティスト達が呼びかけ合い、チャリティーとしての
楽曲制作・レコード販売を通して、世の中に大きなムーヴメントを起こしている姿
を見て、勇気を振り絞り、とてもとても小さな最初の一歩を踏み出しました。
THE CARS - DRIVE - を受け止め消化するのに2年かかった訳ですが、
立ち上がり、前へ進もうとする大人達の背中を見て、僕はそこに勇気と希望を
抱くことができました。
今、大人達が次世代のために、生き方を背中で見せる必要があるように思います。
1人1人の歩みは小さくても、1人1人の存在は小さくても、溢れる「想い」に突き動か
されて取り組む姿、生き様を見せていく必要があるように思います。
人が変わるのを待つより、自分が変わればすべての物事が動き出す。
頑張れなくても自信がなくてもいいから、自分が変わるとまず決めること。