February 08, 2014

ルーベンスに憧れて

西洋絵画


中学生の頃に絵画集を手に入れてからは、決まって日曜の午後に模写をした。


ルーベンスの赤。質感。

フランダースの犬で、ネロ少年が夢にまで見たルーベンスの絵画。
ノートルダム寺院に飾られているものでは「聖母被天昇」のタッチの柔らかさ
も素晴らしいが、「キリスト昇架」の構図と質感は、絵画の最高傑作だと思う。


フェルメールの青。光。

「真珠の耳飾りの少女」に代表されるフェルメールの青は、ラピスラズリから
作り上げたウルトラマリンブルー。 青ばかりが注目されがちなフェルメール
だが、唇にのせたハイライトの白のように、彼の光の使い方は秀逸だ。


ダヴィンチの黒。陰影。

どうしても同じタッチが出せないのは、彼が左利きだからだと思っていたが、
やがてその理由が、陰影が影によって醸し出されたものではなく、閲覧者の目
を光源とした、実は影の無い非リアリズムで描かれたリアルにあったと気づく。


彼らのタッチを徹底的に追いかけることで、
そうした技法やカタチを生み出すに至った、作者の想いの源泉に触れていく。



   コトをマネるだけでなく、そこにある意図に気づけ!

   意図に気づけなければ、気づけるまで徹底的にコトをマネろ!



お客様や部下になかなか真意が伝わらない、というご相談を受けることがある。
そういう時、それではこのように伝えてみてはいかがですか?とアドバイスを
するのだが、たいていは即答で、「そんなようなことは言っているんですよね」と
反論が返ってくる。

そんなような...

その僅かな違いに、実は決定的な違いがある場合が往々にしてある。



「本日はご来店いただき、誠にありがとうございます」

これは、館内放送などでよく聞くフレーズだが、「ありがとう」という言葉
使用しているものの、要するに、これから自分都合のご案内をさせてもらう
ための、ご挨拶にすぎない。

しかし、同じご挨拶であったとしても、他にも競合がある中で、自社を選んで
足を運んでもらったことへの「感謝の気持ち」を込めるとしたら、

「本日は当店にご来店くださり、誠にありがとうございます」となる。


同様に、交流会などで名刺交換した相手に早速のメールを出す際、たいていは

「本日は名刺交換をさせていただき、ありがとうございました」

という書き出しで始める人が多いが、一期一会の感謝の気持ちを込めるとしたら、

「本日は貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました」となる。



似たような努力をしていても、結果は、次々と達成して進んでいく僅かばかりの者と、
いつも惜しいところで終わっていつまでも進めないほとんどの者、とに分かれる。

たとえそっくりなコトをしても、その意図に気づき、そこに込められた想いを感じ、
それを体顕しない限り、それは全くの“似て非なるモノ”にしかならない。