性的虐待。
児童養護施設の子供たちの自立支援や児童虐待防止活動に
参画するようになって、正面から向き合わざるを得なくなった
性的虐待という問題。
虐待には、DV(暴力)だけでなく、言葉で尊厳を踏みにじったり
支配する言葉の暴力や、ネグレクト(無視・相手にしない・適切
な養育や対処をしない)の他、この性的虐待がある。
「女子児童の妊娠は、まず父親を疑え!」
という、お医者様による衝撃の言葉が示すように、加害者は父親(内縁の父)や兄弟や知人
であることが多いため、表沙汰になりづらく根が深い。
国内の性犯罪発生(届出)件数は、強制わいせつ 7,672件(強姦 1,610件)/平成25年度
となっているが、届出のなかったものを含めると、この何倍もの犯罪が発生していると推測され、
年間に何万人もの被害者が出続けていると言える。
そして、
親、兄弟、夫婦、交際相手、同級生、同僚、知人らによる(特に児童への)性的虐待は、まさに
届け出されづらいケースの筆頭であろう。
性的虐待と言うと聞こえ方も曖昧だし、内容や程度によるから難しいと言う方もいるようだが、
つまりは、レイプを含めた強制わいせつであり、許されない犯罪行為に他ならない。
成人男性向けアダルトDVDなどでは、およそ10%がレイプものであり、性犯罪全般となると
相当な比率になろうか。(勿論、こういった性犯罪アダルトDVDの普及は、一部で模倣犯を
生む反面、犯罪発生の抑止力になっているという統計もあるが)それ程、性犯罪に対する
興味や願望を持つ者が多い、という事実がある。
であれば、尚更、
子供や彼女を自分の所有物のように思って虐待している関係においては、かなり高い確率で
性的虐待が発生してくるわけであり、その予防・抑止と対処、被害者のケアとサポートは
社会の大きな課題と言える。
男女の性的衝動・性的欲求について、きれいごとを言うつもりはないが、
特に男性諸氏には、恐ろしい想像をしてみてほしい。
もし、自分が女性や女子児童として性犯罪の被害にあったら...
もし、それを日々強要され続けたら...
もし、自分の娘や恋人が性犯罪・性暴力の被害にあったら...
そして、もし、その加害者が、家族や知人であったなら...
これまでに、30人程の、かつての性的虐待被害者児童(現在は大人)とコンタクトしてきた。
そのほとんどが、文章化できない程の壮絶な幼少期と、それを引きづった青年期、そして今
を生きている。
私自身も、幼児期と小学生時代に、(親や家族からではないが)執拗な性的虐待を受けた
経験があるが、そのことは、自分自身が親になるまで、誰にも言わなかったし、言えなかったし、
誰にも気づいてもらえなかったし、ずっと全部忘れようとし続けてきた。
ケアが必要な児童や女性に対するケアやサポートを伴うお仕事をなさっている方。
そのような立場の方。
学校の教員、児童養護施設の職員、児童相談所の方、警察少年課の方、カウンセラーの方...。
知識としては知っているだろうし、
頭ではわかっているだろうけれど、ぜひ、この映画をご覧になっていただきたい。
何ができるか、何をすべきか、どうしていくか、以前に、
まず、
性的虐待被害者のことを、本質的にわかってあげてほしいのです。
過去ログ : 性暴力を受けている子供たちへ