June 17, 2006

19

20歳の頃、『ベストヒットUSA』の時代に流行った曲だ。

その頃は正直なところ、何度聴いてもピンと来なかったのだが、
もうすぐ長女が18歳になろうという近頃、この曲の歌詞が
心に突き刺さる。

この「19」や、ジョン・レノンの「イマジン」など、我々は
先人たちのメッセージを真摯に受け止めなければならない。
そして、それを自分の意志と行動で、大切な人たちに伝えて
いかなければならない。

イラク情勢や北朝鮮問題など、戦争の匂いが耐えない現代だが、
妻や妹や子供達には、心から幸せな時代を生きてほしいと思う。



     ■ 19 / Paul Hardcastle ■


  1965年、ベトナムは単なる他国の戦争と思われていた。
  しかし、それは違っていた。
  それは多くの点で違っていた。
  それは戦っていた兵士についても同じだった。
  第2次世界大戦、兵士の平均年齢は26歳だった。
  だがベトナム戦争では“19歳”だった。

  サイゴンの北西25マイルで2週間前から始まった
  最大の戦闘は、今日も続いている。

  “僕は何がどうなっているか分からなかったんだ”
  19歳。

  ベトナム従軍兵士の兵役期間は12ヶ月とされていたが、
  彼らはほぼ毎日、敵の砲火にさらされていた。

  サイゴンのアメリカ軍スポークスマンによると、
  緊張が続いている国境地帯における北ベトナム軍の
  戦死者は、700人を超えるということである。
  なお南ベトナム全土における北ベトナム軍の戦死者総数は
  2,689人と報じられている。

  戦争のことを憶えている者ならば、その目で見たものを
  忘れはしないだろう。
  平均年齢19歳という、青春の真っ只中の若者を
  戦争は破壊してしまった。

  退役軍人管理局の調査によると、ベトナム帰還兵の約半数が
  精神病理学者が言うところの、戦争体験による精神疾患に
  侵されており、その多くが、疎外感や暴力衝動、罪悪感などを
  訴え、中には自殺を図る者まで出てきているということである。

  期間後8年から10年経つというのに、今も80万人もの
  男たちが、ベトナム戦争を戦っているのである。

  英雄たちを喜びで迎え入れる者は一人もいなかった。

  19歳。 サイゴン。
  19歳。

  ベトナム、サイゴン、ベトナム、サイゴン、ベトナム、サイゴン
  名誉戦傷賞、サイゴン、名誉戦傷賞、サイゴン

  “僕は何がどうなっているか分からなかったんだ”
  19歳。