July 01, 2006

「今」を大切に生きる

2002年、身を引き裂かれるような耐え難い出来事があった時、
初めてこの詩と出会った。

以来、この詩は自分の講義でも何度か使ってきたが、自分が苦しい
時には必ず、誰かからこの詩をペイフォワードされてきた。

01年のNYテロの際、救助活動のために崩壊するビルへ突入して
行方不明となった消防士のローラ・ホートンが、愛する妻のために
書き写していたことで、全世界に知られることとなったこの詩は、
ノーマ・コーネット・マレックという方の作品です。



     ■最後だとわかっていたなら

   あなたが眠りにつくのを見るのが
   最後だとわかっていたら
   わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
   神様にその魂を守ってくださるように祈っただろう

   あなたがドアを出て行くのを見るのが
   最後だとわかっていたら
   わたしは あなたを抱きしめてキスをして
   そしてまたもう一度呼び寄せて 抱きしめただろう

   あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
   最後だとわかっていたら
   わたしは その一部始終をビデオにとって
   毎日繰り返し見ただろう

   確かに いつも明日は やってくる
   見過ごしたことも取り返せる
   やりまちがったことも
   やり直す機会が いつでも与えられている

   「あなたを愛してる」と言うことは
   いつだってできるし
   「何か手伝おうか?」と声をかけることも
   いつだってできる

   でも もしそれがわたしの勘違いで
   今日で全てが終わるとしたら
   わたしは 今日
   どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

   そして私達は 忘れないようにしたい

   若い人にも 年老いた人にも
   明日は誰にも約束されていないのだということを
   愛する人を抱きしめるのは
   今日が最後になるかもしれないことを

   明日が来るのを待っているなら
   今日でもいいはず
   もし明日が来ないとしたら
   あなたは今日を後悔するだろうから

   微笑みや 抱擁や キスをするための
   ほんのちょっとの時間を どうして惜しんだのかと
   忙しさを理由に
   その人の最後の願いとなってしまったことを
   どうして してあげられなかったのかと

   だから 今日
   あなたの大切な人たちを しっかりと抱きしめよう
   そして その人を愛していること
   いつでも いつまでも大切な存在だと言うことを
   そっと伝えよう

   「ごめんね」や「許してね」や「ありがとう」や
   「気にしないで」を伝える時を持とう
   そうすれば もし明日が来ないとしても
   あなたは今日を後悔しないだろうから

 
                  (訳:佐川 睦)