August 15, 2007

終戦記念日に想うこと

学生時代、自分の右手は「神に与えられた才能」だと思っていた。

それが事故で思うように動かなくなった時、僕は自分の全てを
失った気さえした。

でも、今はそれで良かったと思う。
むしろ、必要な経験だったのだと感謝の気持ちさえ持っている。
そのことで、たくさんのことに気付くことができたからだ。

それ以来16年間、今でも時々見る夢がある。

夢の中で、僕は右手にナイフを突きつけられ、そして目線の先には
大切な人が捕らえられている。
それは、妻だったり、妹だったり、子供だったり。
そして、僕の大切な人を捕らえている何者かは、こう尋ねてくる。

 「大切なものを返してほしければ、お前の全てを差し出せ」

僕は、その言葉が終わるか終わらないかの間に、自分で自分の右手
に、そのナイフを突き立てる。

自分にとって何が大切なのか、何を守りたいのか。
そこに一切の迷いは無い。


戦争を美化する気もないし、もちろん肯定なんかしないが、
散っていった彼らが守ろうとしたもの・・・そこに今の僕らが生きている
という事実からは、目を背けることはできない。

彼らが命をかけて守ろうとしたのは、
彼らが命をかけて託したのは、こんな時代じゃないはずだ。



限りある時間の中で、僕らは自分なりに答えを出さなければならない。
託されたものを大切に守り、そして次に託していかなければならない