August 12, 2009

忘れられない光景

今でも脳裏に焼きついたまま、ずっと消えない光景があります。


その日は、妹の手を引いて保育園に向かいながら、何となく
考えごとをしていました。
何を考えていたのかはよく覚えていないけれど、たしか、学校
の友達関係のことで考え込んでいたような気がします。

いつもの道を通り、幹線道路の横断歩道を渡り終えた時、突然
妹の声で我に返ると、妹が、家からずっと手に持って来ていた
「雛人形」を道路に落としてしまっていました。

取りに戻ろうとする妹を押さえつけて、「信号が赤だから」と
説き伏せているところへ車が来て、僕らの見ている目の前で、
雛人形は数台の車に踏み潰されてしまったのです。

絶叫する妹をなだめ、車が途切れた瞬間に道路へ出て回収しま
したが、雛人形はもはや見る影もありませんでした。

実はその雛人形は、妹のために手作りしたものだったのですが、
彼女はそれをとてもとても気に入って、どうしても保育園に
持って行く、と言って聞かなかったのです。


当時、ウチには雛人形が無くて、トイレットペーパーの芯に
折り紙を重ねて貼ってマジックで顔を描いただけの、お粗末な
雛人形だったのに、

それを手にした時の妹の笑顔、保育園に持っていくと言い張って
大切そうに人形を抱えた妹の姿、そして、車に踏みつけられた
時の、泣きながら絶叫した妹の顔。 今でも鮮明に蘇ります。

他人から見ればどうってことないモノでも、他の人はもっと
いいモノを持っているのかもしれないけれど、本人にとって
かけがえのない、何よりも大切なモノ・・・それを失った悲しみ。

経営コンサルタントという仕事をするにあたって、事業規模の
大小に関わらず、そこに「想い」がある方の依頼をお引き受け
していますが、“あのシーン”は2度と見たくありません。

どんなに小さな喜びでも、どんなにささやかな幸せでも、そこに
かけがえのない想いがあるなら、それが実現した笑顔を見たい。

そして、そのお子さんの本当の笑顔を見たい。


あの日、自分が何かで頭がいっぱいだったことで、ほんの瞬間
彼女の想いを大切にしていなくて、起きた出来事。 それと
同じように、事業のことで頭がいっぱいの親のもとで、いつも
我慢している子どもや、瞬間でも忘れられている子ども達。

彼らが本当の幸せを手にすることが、めざすゴールです。


        「成功の本質を提供する」

あの日の光景を生涯忘れず、看板に偽りなきコンサルティング
を提供し続けていきたい、と思っています。


今年もやってきた8/6広島の日、8/9長崎の日、そしてもうじき
やってくる8/15終戦の日。

今を生きる僕らは、次の時代の子ども達に、物質的な豊かさや
現実逃避の心の豊かさ論じゃなく、本当に大切なものを手渡し、
託していかなければなりません。